君想ふ~序章~
mami
mami~大学生のメモ~
真由美は俺が思っていた以上に働いた。
月140時間計画である。
1日8時間労働を週4はやるような、
本当にちゃんとした仕事だった。
今の大手の従業員なんてのは大半がパートである。
ある大企業が、実はおばさんたちで成り立っているなんてざらだ。
しかも経験豊富で主戦力になるようなパートもいれば、
何年も働いているのに全然役に立たないパートもいる。
俺はそれをよく知っている。自分の会社がそうだったからだ。
大企業がゆえに転勤に転勤を重ね、たくさんの店舗を見てきた自分はわかる。
だからそこんところも、真由美にはしっかりと言っておいた。
真由美はもうずっと専業主婦だったから。
俺は独り、家に籠っていた。
ただ、それは日に日に俺に微かなやるせなさになっていった。
今思えば、俺はそれに気づいていたのか、それとも気づかないようにしていたのか。
この歳の頭では到底深くは考えられないが、でも確実に、
それは少しずつもどかしい気持ちへと変わっていったのは記憶している。