療養の中で導かれた信念、生きる意味「他者を想う」
mami
mami~大学生のメモ~
この日イオンのフードコートで、いつものように、これから勉強でもしようかと呑気にアイスを食べていたのだが、向かいに座っていた壮年のご夫婦の、旦那さんの一言をきっかけに、会話を聞き入ってしまった。
「1週間、長いよ。」
彼はこう言ったのである。さらに聞き入ってみる。
「仕事なら、1週間なんてすぐなんだけどね。」
彼はその後、奥様に向かって仕事の話を数分話し続けていた。
奥様は、じっと、旦那さんの話を聞き入っていた。
そしてその後、旦那さんからこの話が出てきた。
「仕事と病院は、似ているが全く違う。仕事は束縛、病院は監獄だ。」
彼はそう言ったのである。
そこで私は、この旦那さんは、これから入院することにようやく気づいた。
そこから旦那さんは、仕事を休むことの影響など、危惧していることなどを話していた。
しかし最後に、奥様が一言。
「何よりも、あなたが大切だと思うわよ。」
ただ一言、彼女は彼に向けて言ったのである。
その時ベルがなり、ラーメンをとりに2人は席を外し、また戻ってきたが、そこからはただひたすら、ごく普通の会話をなさっていた。
ただ私は、2人のその会話から、ひたすら穏やかな、幸せなオーラというものを感じた。2人だけの空間であった。しかし私は、それに魅入っていた。
旦那さんはお腹がいっぱいだったようだ。
「食べる?」
旦那さんはチャーハンを奥様に譲った。
奥様は静かに、それを召し上がった。
「おいしいでしょ。じゃ、いこっか。」
そうして2人は、私の向かいから去っていった。