君想う~第一章「俺」3~
mami
mami~大学生のメモ~
「私、これから働くから。」
この言葉を聞いたのは、60を過ぎてからだろうか。
俺はこれからやっと一緒にいてやれると思っていたのに。
俺はあの大企業で、40年近くの間働いてきたんだ。働かなくたって、お金は充分にある。
「は?」
少しカっとなってしまったことを覚えている。
今までの俺の努力をなんだと思っているんだ。
これから一緒と思っていたのに。
そう思って、俺は真由美に対して、最後の最後まで抵抗したことをよく覚えている。
真由美は良い妻であった。俺の言うことなんてほとんど聞いていたのに。
なんで突然パートなんか…当時の俺はそう思ってしまっていた。